NTTが開発した次世代メモリー「インフォマイカ」は、プラスチック製光メモリーで切手サイズに1GBのデータを記録できる。この未来の技術を市場に登場させるために、NTTがエンターテイメントの一大産業である映画の街ハリウッドに売り込み、家電大手が席捲しているDVDの次世代として売込みを始めた。
「インフォ・マイカ」は、光ファイバー技術と、光をあてて模様を浮かび上がらせるホログラム原理を組み合わせた切手大の樹脂製メモリー。2.5センチ四方で、記憶容量は1ギガバイト。小型画面での再生なら約3時間の映画が記録できる。NTTは10ギガまで高めるとしている。読み取り装置は手のひらサイズで済む。
安価で大量生産でき、読み取り装置の小型化も可能となるこの媒体を、ビデオやDVDに代わる映画ソフト媒体としてもらうためだ。電機メーカーが主役だった記憶媒体市場に初挑戦するにあたり、米7大映画スタジオの「お墨付き」を得ることが新媒体を世界標準とする近道と判断した。
NTTは全米映画協会などに専用機器を持ち込み、新媒体に記録した映像を再現して見せ、売り込んでいる。映画ソフトに先駆け、来年には電子辞書やカーナビゲーション、パチンコ機向けメモリーとして販売し、実績づくりをする計画だ。
切手大の記憶媒体であるフラッシュメモリーは1ギガで数万円だが、インフォ・マイカは1枚100〜200円で作れる。このため安く大量に売る映像・音楽ソフトとしての需要を期待している。
次世代DVDをめぐっては日本の大手電機メーカーが二手に分かれ、支持の取り付け合いを演じているなど、ハリウッドは記憶媒体の標準化競争の舞台ともなっている
次世代DVDのブルーディスクも円盤を回転させ、記録されたビットを工学機器で読み取るため小型化、軽量化にも限界がある。このインフォマイカであれば小型・軽量化が可能になる。
また、著作権管理に関しても、記録は専用の機械で行い、読取り専用機械とすれば数GBのコンテンツでも数百円で配布可能になり、コピーできない流通が実現する。
未来は光技術の進化から始まる。
インフォマイカ公式サイト