米国のサンフランシスコ市で2004年6月28日〜7月1日に開催されたJava関連の開発者会議「2004 JavaOne Conference」で,米Sun Microsystems, Inc.が特に推していたのは,携帯電話機を脈拍計に変身させる,米MedicTouch LLCの提案である。
この携帯型脈拍計「MedicTouch Pulse Meter」は,J2ME(Java2 platform, micro edition)を用いたアプリケーションで、携帯電話機で動作するJavaアプリケーションは一般にゲームだけだと思われているけど,それ以外にも使い方があることを示したいとしている。
MedicTouch社の「MedicTouch Pulse Meter」の試作機。これは携帯電話機との間をBluetoothで結ぶもの。写真で見えている手首の左側にBluetoothのモジュールがある。右奥に見えるのが指先に差し込むセンサで,同センサとBluetoothモジュールはケーブルでつながっている。
MedicTouch Pulse Meterは,指先に差し込むセンサと,J2MEによるJavaのソフトウエアから成り、センサと携帯電話機は,Bluetoothやケーブルなどで結ぶ。Bluetoothを使う製品の価格は149米ドル,ケーブルを用いるものは99米ドルになるという。
センサで検知した脈拍データは,携帯電話機で動作するソフトウエアで受け取り,解析して表示する。さらにこのソフトウエアを用いて,脈拍データをサーバなどに転送することも可能だ。こうした機能を使うと,例えばジョギングのときに次のようなことが実現できる。すなわち,GPSなどの位置情報を把握する機能を備えた携帯電話機を使ってジョギング中の脈拍と位置情報をサーバに転送しておく。ジョギングを終えた後で,ユーザーは特定のWWWサイトでこうした情報を見て,ジョギングに無理がなかったか,次はどのようなコースを通ったらよいのかなどを確認できる。
MedicTouch社は,今回の製品をまずスポーツを楽しむ人や健康状態を気にする人などに向けて販売する。本格的な医療向けの市場は,その後で参入したいとする。同社の強みはセンサではなく,開発に4年をかけたJavaアプリケーションにあるという。1秒間あたり75回の計測を行うことで検知した脈拍情報を処理し,リアルタイムにユーザーに表示できる。同アプリケーションは約100Kバイトのメモリ容量で動作する。こうした健康に関する個人情報は,かなり厳重に保護する必要があるため,同社は独自の暗号技術も併せて開発したという。