1923年から始まった歴史あるレースは、1周13・650キロの特設サーキットを1チーム3人のドライバーで丸1日走り続ける。日本からは3チームが出場し、昨年4位の好成績を収めたチーム郷が注目される。
アウディR8で戦うチーム郷からは、昨年に続き日本の荒聖治が出場。昨年とは同僚の外国人ドライバー2人の顔触れが変わり、優勝争いに加わるだけの布陣が整った。2人とも昨年優勝のベントレーから加入し、そのうちトム・クリステンセン(デンマーク)は昨年のこのレースで史上初の4連勝を果たした“優勝請負人”。リナルド・カペロ(イタリア)も豊富な入賞経験がある。
【ルマン24時間、アウディが1-2で決勝へ』
スタートを土曜日に控えた2004年6月10日、仏ルマンのサルテ・サーキットで最終予選が行われ、優勝候補ナンバー1のアウディ勢が1-2位に入った。
昨年圧勝したベントレーと同じフォルクスワーゲングループに属し、2000-2002年に3連覇を達成したアウディは、今年の大本命。名マシン「R8」の4台のうち、ポールポジションはNo.88、イギリス人トリオのジェイミー・デイヴィス/ジョニー・ハーバート/ガイ・スミス組が獲得した。1周13.65kmあるサルトを、R8はハーバートのドライブで3分32秒838で駆け抜け、ハーバートの長いキャリアにとっては通算2回目となるPPを得た。
2位はNo.8、フランク・ビエラ/ピエール・カッファー/アラン・マクニッシュ組のアウディ。フォーリングスの上位独占に、No.22のザイテック(アンディ・ウォレス/デイヴィッド・ブラバム/下田隼成組)が待ったをかけ、3位に入った。
4位に、荒聖治/トム・クリステンセン/リナルド・カペッロがタッグを組むNo.5 チームゴウのアウディが入り、念願の優勝を狙う。
5位エマヌエル・コラール/セバスチャン・ブーデ/ニコラス・ミナシアンのNo.17ペスカローロ・ジャッド、6位JJ.レート/マルコ・ベルナー/エマヌエーレ・ピッロのNo.2アウディを間に挟み、ADVAN KONDO RacingのNo.9童夢無限、加藤寛規、道上龍、福田良が7位と好位置につけた。
【2時間経過』
2時間を経過する直前に2番手のベロックス(英国)と3番手のチャンピオン(米国)が接触し、上位の順位が入れ替わった。
トップはベロックスのもう1チームで変わらない。日本勢はKONDOレーシングが上位に浮上。序盤でのコースアウトで大きく後退したチーム郷にも、再びチャンスがめぐってきた。チョロQは40番手前後。
日本人ドライバーの所属チームは、金石勝智のレーシング・フォー・ホランド(オランダ)が7番手、下田隼成のザイテック(英国)が9番手、26度目出場の寺田陽次郎のラシェル・ベルテール(フランス)は24番手。
【12時間経過』
12時間を経過した時点で、荒聖治、カペロ(イタリア)、クリステンセン(デンマーク)組のアウディR8がトップから1周差の2位を走っている。
首位は英国の3人が乗るアウディR8で187周を周回している。加藤寛規、道上龍、福田良組(童夢・無限)は首位と13周差ながら5位につけている。
【16時間経過』
13日の朝を迎え、16時間を経過した時点で、荒聖治、カペロ(イタリア)、クリステンセン(デンマーク)組のアウディR8がトップを快走している。
2位は1周差で、英国の3人が乗るアウディR8。
荒組は、序盤にコースオフなどで10位以下に順位を落としたが、徐々に追い上げ、トップ争いのアウディ同士の接触事故などもあり、徐々に上位に進出。レース開始後15時間で、このレース初めてのトップに立った。
加藤寛規、道上龍、福田良組(童夢・無限)は序盤は上位につけたが、トラブルで大きく遅れた。
【20時間経過』
20時間を経過した時点で、荒聖治、カペロ(イタリア)、クリステンセン(デンマーク)組のアウディR8がトップを快走している。
2位は1周差で、英国の3人が乗るアウディR8。
荒組は、序盤にコースオフなどで10位以下に順位を落としたが、徐々に追い上げ、トップ争いのアウディ同士の接触事故などもあり、徐々に上位に進出。レース開始後15時間を過ぎて、首位を守っていた英国組のアウディのマシントラブルの間に首位を奪った。その後、5時間、順調にトップを守っている。
加藤寛規、道上龍、福田良組(童夢・無限)は序盤は上位につけたが、トラブルで大きく遅れ、14時間目にマシン不調でリタイアした。
【21時間経過』
13日午前7時(日本時間同日午後2時)すぎに首位に立った荒聖治の所属するチーム郷は、ゴールまで残り3時間となった午後1時(日本時間同日午後8時)の時点までリードを守った。
約半周遅れの2番手でベロックス(英国)が追っている。
ほかの日本勢はチョロQが15番手。KONDOレーシングはエンジンと変速機の結合部に亀裂が入ってリタイアした。
日本人ドライバーの所属チームは、金石勝智のレーシング・フォー・ホランド(オランダ)が8番手に浮上し、寺田陽次郎のラシェル・ベルテール(フランス)は28番手。下田隼成のザイテック(英国)はエンジントラブルでリタイアした。
【24時間経過:感動のゴール』
郷和道監督のチーム郷がアウディR8での参戦3度目で、悲願の優勝。最後のハンドルを握り、日本人として2人目の優勝を成し遂げた荒聖治は、マシンの中で両手を突き上げて喜びを爆発させた。表彰式では、日の丸に君が代。アテネ五輪まで2カ月、モータースポーツで世界を仰天させる快挙を成し遂げた。
アクシデントを乗り越えた。予選4番手から先発のカペロがいきなり3位に浮上したが、開始30分たらずの8周目、エンジン失速でコースアウト。牽引車に引かれてコースに戻ったが、順位は24位まで急降下した。が、戦列復帰後はゴボウ抜きの猛追劇でトップグループに浮上。スタートから15時間後の13日午前7時(日本時間午後2時)すぎ、それまでPPから首位を走っていたハーバート組のアウディがサスペンショントラブルに見舞われた間隙をついてトップに立ち、残りの9時間、ライバルの追撃をかわして逃げ切った。
チーム郷はアウディR8での参戦初年度の02年に7位、昨年4位と着実に順位を上げた。今季はルマンに5度の優勝経験があるT・クリステンセンやR・カペロらを助っ人として迎えてチーム強化。「マシン、ドライバーともルマン史上20年に一度といえる体制だったが、プライベートチームとしてルマンの頂点に立てて嬉しい。来年は『ゼッケン1』で走れるのだから、何としても出たい」。ゲンをかついでひげを伸ばしっぱなしの郷監督は、執念の挑戦で勝ち取った勝利に喜びを爆発させていた。
伝統の自動車耐久レースで、アウディR8に乗る荒聖治、トム・クリステンセン(デンマーク)、リナルド・カペロ(イタリア)の「チーム郷」が24時間で379周を走破し、総合優勝した。日本のプライベートチームとしては初めて、日本人ドライバーとしては95年にマクラーレンに乗った関谷正徳以来2人目、日本チームとしては91年のマツダ以来2度目の総合優勝となった。