米航空宇宙局が、土星探査機「カッシーニ」が撮影した土星の衛星「フェ―ベ」の写真を公開、いん石の衝突などで変形した姿が明らかになった。ある科学者は、いん石による多数のクレーターが数多くみられる同衛星について、「相当傷んだ物体」だと表現している。
今回の土星探査機「カッシーニ」は、NASAとヨーロッパ宇宙機関が共同で土星の地表や衛星などを調べるため、今から7年前に打ち上げたもので、「カッシーニ」は、2004年6月11日、31個の土星の衛星の1つ、「フェーベ」に接近して撮影に成功し、12日、その写真を公開しました。 写真では「フェーベ」の表面に大小数多くのクレーターが鮮明に写っています。フェーベはほかの衛星とは異なり反対向きに土星を回るなど謎の多い衛星で、今回の計画にかかわっている関係者は、撮影された画像などを基に地形や表面を分析することで衛星が誕生した過程などが分かるのではないかとの期待を寄せています。 土星探査機「カッシーニ」は、このあと土星にさらに近づき、4年間かけて土星の表面や輪を詳しく調べる予定で、大気を持つ衛星「タイタン」に搭載している別の小型探査機を着陸させ、地表での分析活動なども行う予定です。 「カッシーニ」は動力源として、プルトニウムを使っているため7年前の打ち上げをめぐり、事故があった場合、放射能汚染のおそれがあるとして環境団体が打ち上げ中止を求める裁判を起こしたり、抗議行動を行った市民が逮捕されたりしました。