巨大企業の強さに誤算あり、ソニーとNTTドコモ、商品戦略を“軌道修正”する迷いあり。 ソニーとNTTドコモが、2004年夏の新商品でこれまでの商品戦略から方針の変更をおこなってきた。
ソニーは新型VAIOのラインアップを一新したのを機に、今までは自社の推進するメモリースティックのみに対応してきたのを、SDメモリーカードにも対応した。
この背景には、デジタルカメラ用のメモリーカードとして、メモリースティックがSDに圧倒的な差をつけられ、劣勢が明白になった事がある。デジカメにメモリースティックを採用しているのは、ソニーのほか、コニカミノルタと韓国のサムスン電子のみで、2004年4月の国内販売シェアは14.6%で、SDの43.6%と比べ大きな差がある。 メモリースティックが後塵を拝した理由の1つとして、ソニーが単独で規格を厳格に管理しているが、一方のSDカード陣営は、松下や東芝など複数メーカーが規格管理に参加して規格を策定しているが、この規格がオープンなSDの方が、デジカメメーカーにとって採用しやすかった。 もうひとつの理由として、ソニーのデジカメの強さが、皮肉にも普及を妨げる結果となっている。デジカメ生産台数で、ソニーは2002年、2003年と業界トップ。そのため、2位以下のメーカーがソニーを牽制するためにSDを採用するという背景もある。 二頭を追うもの一頭も得ず! もうひとつ同じ事が、携帯電話の巨人、NTTドコモにも言える。 携帯電話トップシェアのNTTドコモも、2004年の新型携帯ではいままでにない新機軸を打ち出してきた。 これまでは、携帯の高機能化とコンテンツのリッチ化をすすめて、通話収入から通信収入への収益のシフトを協力にに進めて来たが、機能がシンプルで、デザインの良さを重視した若者向けの新端末(P252i、premini(プレミニ))を発表した。 この新型端末の背景には、au「INFOBAR(インフォバー)」の“後追い”と思われても獲得したい、今まで取り込めなかったユーザー層に売り込むための戦略がある。 これだけ多機能・高機能化した携帯電話が氾濫する社会となった日本では、機能の淘汰が始まっているのかユーザーが求める機能が明確に絞られて来ている。 必要な機能とそれ以外の機能をユーザーが見分ける目を持ち始めているのではないか。 Sonyにしても、NTTDoCoMoにしても、圧倒的トップとして万人受けする必要に迫られて、斬新な端末やサービスが出しづらくなると言っているが、世界を見れば、携帯電話メーカーの巨人『NOKIA』などは常にチャレンジをしていることを考えると、日本の巨人はまだまだ甘えの体質の中で育っているのかもしれない。 変化の速いデジタル家電業界で、自社の利益のみ追求するあまり、ビジネスにとって必要なはずの提携先の協力やユーザーのニーズをつかみ損ねると一気に攻守が逆転する。 昔読んだ本にこんな言葉があった、”人間は弱いだから強いのだ”と強いと勘違いした人間ほど実際には弱者であると気づかないものかもしれない・・