最近、注目を集め出したロスレス圧縮(可逆圧縮)に、新たなフォーマットとして「Apple Lossless」が登場した。今回登場したのは、新バージョンのiTunes 4.5の新機能として追加された。このロスレス圧縮がiPodで利用可能というのが最大のポイントとなる。 このApple Losslessが、Windows Media Audioなど既存のロスレス圧縮と比較して、圧縮率などはどうなのか?
日本語のWindows版は5月中旬のリリース予定
4月28日にAppleがiTunesの新バージョン、iTunes 4.5を発表した。英語版はMacintosh版、Windows版ともにリリースしているが日本語版はまだMaintoshc版のみであり、日本語版は5月中旬のリリース予定となっている。 一番最初に気になるのは、やはりそのロスレス圧縮のApple Lossless。Losslessというからには、音質劣化が生じないオーディオ圧縮であり、MP3やAAC、WMAなどの非可逆圧縮とは大きく異なる。正確にはiTunes本体に搭載されたのではなく、そのバックグラウンドで動作するQuickTime 6.5.1が持った新機能ではあるが、ここでは、QuickTimeはiTunesの1モジュールである。 ロスレス圧縮については、具体的なものとしては、以下のようなものが存在している。
・Windows Media Audio Lossless ・Perfect Clarity Audio ・FLAC ・Monkey's Audio
いずれも、圧縮によって3分の1程度のファイルサイズになると謳っているが、実際には曲によってその圧縮率は結構変わり、単純な曲だと15%程度にまでなるが、普通の楽曲ではよくて50%程度にしかならず、アップテンポの曲などでは60%程度がいいところだ。 HDDが大容量化した時代に、半分程度にしか縮まらないのをどう捉えるかは人それぞれだが、やはり面倒のないWAVやAIFFを使ったほうが楽だし、各ソフトとの互換性も取りやすい。また、ポータブルプレーヤーで使うには大きすぎると思うし、そもそも現状のポータブルプレーヤーおよびそのヘッドフォンの性能ならMP3やAACで十分だと思う。 とはいえ、非可逆圧縮オーディオの音は許せないと思っている人も結構いるようなので、そうした人にとっては、今回のApple Losslessは待望のフォーマットだったのではないだろうか。ポータブルプレーヤーでは最も普及しているiPodが対応したことで、PCのHDDでの保存に留まらず、さまざまな用途が見えくる。 ロスレス圧縮なので、圧縮フォーマット検証のような音質チェックをしても無意味だが、本当にロスレス圧縮できているのかを念のためチェックするために、WAVファイルに再変換して元データと比較するとiTunes 4.5ではWAVファイルへの変換も、Apple Losslessへの変換とほぼ同じ手順でできるが、結果の比較は見事というか当然というか、1ビットの違いもなく合致した。 HDDプレーヤーの容量が大きくなり、シリコンプレーヤーと値段的には競合してきた昨今、オーディオを楽しむ機会も増え音質にこだわる方々も多くなってきたが、非可逆圧縮オーディオとロスレス圧縮を選んでみてはいかがでしょうか。