アドビシステムズは2月にも、リッチクライアント・アプリケーションの新たな実行環境「Apollo(開発コード名)」をベータ公開する。一般的なWebページやFlash、PDFで作られたWebコンテンツを、ブラウザなしで利用できるデスクトップ・アプリケーションの開発を可能にする。
Flash Player、Adobe Readerに次ぐ、リッチクライアントの実行環境となる「Apollo(開発コード名)」。 Flash、PDFのほか、HTMLやAjaxで開発したWebコンテンツなどを、同一画面で扱うアプリケーションを開発できる。WindowsとMac OS、Linuxの各OS向けにApolloを用意することで、同一のデスクトップ・アプリケーションをこれらOSの別を問わず利用できるようにする。 Apolloで開発できるアプリケーションの一つのとしては、アップルコンピュータが提供する音楽プレーヤ・ソフト「iTunes」がある。 iTunesはアップルがMacOSとWindows向けそれぞれに専用ソフトを用意するデスクトップ・アプリケーション。専用Webサイトの閲覧や、音楽データのダウンロードといった操作を容易にするために、iTunes専用の操作メニューを提供している。 Apolloでの開発に向いているアプリケーションとしてアドビは、グループウエアや電子メール・クライアントなど断続的にネット接続するアプリケーション、ファンクション・キーを多用するデータ入力アプリケーション、マウス操作を多用するアプリケーションなどを挙げる。アドビは今後、同社の開発環境「Flex 2」や、従来のFlash向け開発ツールなどをそのまま利用して、Apolloアプリケーションを開発できるようにする計画。 リッチクライアントは、デスクトップ・アプリケーションの使い勝手と、Webアプリケーションの運用管理性を兼ね備えるとして普及しつつある。しかし、FlashやPDFを使ったサイトをブラウザで閲覧するには、専用のPlayerをインストールする必要があるほか、ブラウザを使えば、例えばウインドウ内でマウスを右クリックすると、必ずブラウザ用のメニューが出るなど、ブラウザの制約から使い勝手を高めることが難しいといった課題がある。