曇り空になったメルボルンの日曜日は涼しい午後を迎えた。スタート時の気温は18℃、路面温度は24℃となった。
現地時間午後2時、ミハエル・シューマッハを先頭として20台の華やかなマシンたちがフォーメーションラップへと飛び出していく。
スタート!フロントローのフェラーリ2台は順調なスタートで1−2体制をキープした。5番手スタートのルノー、フェルナンド・アロンソがスタートを成功させ3位へ浮上、ファン・パブロ・モントーヤは1コーナーで飛び出してしまい7位へと後退した。オープニングラップのオーダーはミハエル・シューマッハ、ルーベンス・バリチェロ、アロンソ、ジェンソン・バトン、ヤルノ・トゥルーリ、ラルフ・シューマッハ、モントーヤ、マーク・ウェーバー、佐藤琢磨、デビッド・クルサードの順で終了した。
7周目を終えた時点でミハエル・シューマッハとバリチェロとの差は2.2秒まで広がり、バリチェロとアロンソとの差も4.1秒まで開いている。
8周目、まずはニック・ハイドフェルドを追いかけていたジャンカルロ・フィジケラが1回目のピットストップを敢行、作業を無難に終え最後尾でレースに復帰する。
ザウバーはさらなる動きを見せる。10周目の1コーナーでフェリペ・マッサがキミ・ライコネンをオーバーテイク。なんと抜かれたライコネンのマシンはターン3でエンジンがブロー、そのままコースオフしてレースを終えてしまう!
10周目の終わりにはモントーヤが1度目のピットストップ。10秒の静止時間で11位となる。翌周にはフェラーリのバリチェロ、アロンソ、バトンもピットへ。次のラップではミハエル、トゥルーリ、ラルフもピットへ。ミハエルは9.4秒で作業を終えトップでコースへ。トゥルーリは7.8秒、ラルフは7.3秒、それによってラルフがトゥルーリの前に出る。佐藤琢磨もピットへ。
13周目、地元ウェーバーもピットへ。ウェーバーはモントーヤの後ろでコースへ復帰する。パニスをプッシュしていたフィジケラがターン3でオーバーランを喫するが、問題なくコースへ復帰する。14周目、クルサードとマッサもピットへ。残されたマクラーレンのクルサードは11秒3でレースに戻る。
上位陣すべてのマシンが1度目のピットストップを終えた時点で順位には若干の変動が見られた。トップはミハエル、2位バリチェロ、3位にアロンソ、4位はバトン。5位にはラルフ・シューマッハが浮上し、6位にトゥルーリ、7位モントーヤとなっている。佐藤琢磨は11番手。クリエンを追っていた佐藤は1コーナーでオーバーランするシーンも見せたが、クリエンがピットストップを行なったことで10位へ浮上。
次なるリタイアはミナルディのゾルト・バウムガートナーとなった。
フェラーリの2台は1分25秒台前半のタイムで逃げを打つ。3位のアロンソだけが25秒台で懸命にフェラーリの後を追うが、4位のバトン以降は27秒台のペースでしか走れない。
18周目、マッサがコース上で1回転を見せるが見事なリカバーでレース復帰。
20周目にはついにフェラーリ2台と3位アロンソの差が10秒以上に広がる。
24周目、ルノーのアロンソが真っ先に2度目のピットストップへ。それと同時にモントーヤがトゥルーリをオーバーテイクし6番手へと浮上。アロンソはバトンとラルフの間に入り込む。
26周目、バトンとモントーヤがピットへ。バトンは少し手間取ったが、モントーヤは9.5秒でピットアウト。バトンは7位、モントーヤは8位でコース復帰となった。27周目には地元ウェーバーもピットストップ、給油時間は8.3秒。佐藤琢磨も同じラップでピットへ。ラルフ、トゥルーリもピットへ。
フェラーリはバリチェロからピットへ、7.2秒でコースへ復帰。その間にトップのミハエルは1分24秒125のファステストラップを記録する。そしてバリチェロの次の周にミハエルもピットストップへ。フェラーリは7.8秒で6度のワールドチャンピオンをコースへ送り出す。
2度目のピットストップを終えた時点でBMW・ウィリアムズのラルフ・シューマッハがジェンソン・バトンの前に出て4番手。
レースの半分を終えた時点でトップのミハエルと2位バリチェロの差は5秒以上に広がり、ミハエルとアロンソの差は30秒まで拡大している。地元オーストラリアの期待を一身に集めたジャガーのマーク・ウェーバーが、不運なことに今日3人目のリタイアドライバーとなってしまった。メカニカルトラブルを抱えたウェーバーはR5をノーズからガレージへと突っ込んだ。
今年からチームを交換したニック・ハイドフェルドとジャンカルロ・フィジケラはレース序盤から激しい攻防を繰り広げる。33周目、とうとうフィジケラがハイドフェルドとのホイール・トゥ・ホイールを制して12位へ浮上する。
36周目、ここまで1度のピットストップで引っ張ってきたマクラーレンのデビッド・クルサードが2度目のピットストップを敢行し、マクラーレンが2ストップであることが判明する。ザウバーもマッサも同じ動きを見せる。
38周目、モントーヤの猛攻を凌いでいたバトンだったが、ついにその先行を許してしまう。モントーヤは5番手へ浮上、4位のチームメートを追いかける。
40周目、唯一フェラーリと同等のラップタイムを刻んでいたアロンソが3回目、最後のピットストップを行い、8.3秒のストップの後に3位でコースへ復帰する。チームメートのトゥルーリも3度目のピットストップを終える。
粘りのレースとなったBAR・ホンダのジェンソン・バトンも3度目のピットストップを行い、6位でレースへ復帰する。バトンの前を走るウィリアムズ勢、そして独走するフェラーリにも動きが見られる。まずはバリチェロが7.2秒で最後のピットストップを終え、トップのミハエルも7.8秒で危なげなくリードをキープする。ウィリアムズはモントーヤから給油を行なうが、右リアタイヤの交換に手間取り、作業に10秒以上かかってしまう。続いてザウバーのフィジケラと一緒にラルフ・シューマッハもピットへ入り、8秒台でコースへ復帰する。
トップ46周目、ザウバーのマッサとジョーダンのハイドフェルドが相次いでストップ。ハイドフェルドの直前のピットストップで待ち構えていたピットクルーに突っ込んでしまった。佐藤琢磨は最後のピットストップを無事に終え、10位でレースに復帰する。
レース終盤、佐藤琢磨のマシンはリアウイングのガーニーフラップ左側が外れかけてしまっている。それでも佐藤はポイント圏内目指してプッシュを続けていく。8位クルサードの差は残り7周で22秒2。
残り4周、独走態勢のミハエル・シューマッハは早くもクルージングに入る。いったんは周回遅れにされたバトンがペースを落としたミハエルを抜いていく。
ファイナルラップ。エンジンを労わりながら大きくペースを落としたミハエルは、通算30回目のポール・トゥ・ウィンへ向けてF2004を前進させていく。
フェラーリが1−2フィニッシュを達成!3位にはルノーのフェルナンド・アロンソが続き、開幕戦から表彰台を獲得した。ウィリアムズの2台、ラルフとモントーヤが4位と5位に続き、BAR・ホンダのジェンソン・バトンは6番手で開幕戦を終えた。7位はトゥルーリ、8位はクルサード、佐藤琢磨が9番手となった。最後のトップ10はザウバーのフィジケラ。
クリエン、ダマッタ、パニス、パンターノを含め、トータルで14台が開幕戦オーストラリアGPを完走した。新しいエンジンレギュレーションでサバイバルレースが予想された今回のレースだったが、予想以上に多くのチーム、ドライバーが週末を1基のエンジンで走りきった。
2004年F1チャンピオンシップ第2戦マレーシアGPは、2週間後の3月19日から開幕する。